初瀬にまうづるごとに、やどりける人の家に、久しくやどらで、程へて後にいたりければ、かの家のあるじ、「かくさだかになんやどりはある」と、言ひだして侍りければ、そこにたてりける梅の花を折りてよめる 人はいさ心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の香ににほいける