・在原業平
・大友黒主
・小野小町
・喜撰法師
・僧正遍照
・文屋康秀
以上の六人の同じ時代の歌人たちのこと。
古今仮名序において紀貫之が、
そのほかに、近き世にその名きこえたる人は、すなはち、 僧正遍照は、歌のさまは得たれども誠すくなし。たとへば、絵にかける女を見て、いたづらに心を動かすがごとし。 在原業平は、その心あまりて言葉たらず。しぼめる花の、色なくてにほひ残れるがごとし。 文屋康秀は、言葉はたくみにて、そのさま身におはず。いはば、商人のよき衣きたらんがごとし。 宇治山の僧喜撰は、言葉かすかにして、始め終りたしかならず。秋の月を見るに、暁の雲にあへるがごとし。 小野小町は、いにしへの衣通姫の流なり。あはれなるやういて、強からず。言はば、よき女の悩めるところあるに似たり。強からぬは、女の歌なればなるべし。 大友黒主は、そのさまいやし。いはば、薪負へる山人の、花のかげに休めるがごとし。